2021-01-25

シマフクロハイゴケ

 

 上は大阪市にある温室「咲くやこの花館」の熱帯雨林植物室にあったコケです。 たくさんのコケが高密度に混生していて、温室内で枝分かれの様子などが分かる写真は撮れず、2020.12.27.に少し持ち帰ったものを撮ったのが上の写真です。 葉は密につき羽状に分枝しています。
 このコケについては、同定を急がねばならなかったこともあり、葉の細胞を観察してフクロハイゴケだと決めてしまっていました。 葉先がフクロハイゴケより長く伸びているのは当初から気になっていましたが、他に似たコケも思いつかず、温室という特殊な環境のせいにしてしまっていました。
 今日、いちおう確認をと平凡社の図鑑を見たところ、シマフクロハイゴケ Vesicularia reticulata という種が目に留まり、改めて見直してみると、どうやらこのコケのように思います。 分布は伊豆七島、九州、琉球;アジアの熱帯~亜熱帯となっていますが、何かの植物について持ち込まれた可能性もあり、熱帯雨林植物室にあっても不思議はありません。
 検索してみると、ウィローモス同様熱帯魚の水槽などにも用いられ、広く出回っているようです。

 葉は卵状披針形~広披針形で、先は漸尖して長く尖っています。 平凡社の図鑑では葉先の縁に小歯があると書かれていますが、上の写真では小歯はあるような無いような・・・

 上は葉身細胞です。 フクロハイゴケの葉身細胞は長い六角形ですが、本種では長い菱形が混じっています。

 胞子体がついている所もありました。 葉はズタズタですが・・・

 上は蒴です。

 上は蒴歯を蒴の内側から撮っています。 色の濃い方が内蒴歯で、白っぽいのが外蒴歯です。

 蒴歯の一部を拡大してみました(上の写真)。 内蒴歯、外蒴歯とも、パピラに覆われています。


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