秋田駒ケ岳で、シモフリゴケの写真を撮っていた横にありました(2021.7.8.)。 シモフリゴケに虫がいたこともあって、その撮影に夢中になり、ミヤマスナゴケの生育状況を示す写真撮影は忘れてしまいました。
上は左がシモフリゴケ、右が本種( Racomitrium fasciculare )です。 背景が白いこともあって、上のシモフリゴケは白さがよく分からないのですが、白さは生育状況でも変化します。
両種は同じ属ですが、両者を比較してみると、大きさや色など以外に、枝の出方も違っていて、本種は短い枝を出しています。
上の写真から各部の長さを測定すると、葉は 1.5~2.5mm、蒴柄は5~6mm、帽の無い蒴は2mmほどです。
上は葉です。 葉先に毛尖はありません。
上は葉の基部です。 葉縁基部には大型・薄壁で透明な矩形に近い細胞列があります。 葉身細胞の縦壁は波状に肥厚し、複数の小さなパピラが縦壁上に並んでいます。
上は葉先から1/3ほどの所の細胞の様子で、左上は中肋です。 葉縁は外曲しています。
上は葉のほぼ中央の横断面です。 葉身は1細胞層です。
下は上の中肋部の拡大です。
中肋にステライドは見られません。
湿らせて観察している時、湿って透明感を増した葉を通して、上の写真の赤い矢印で示したような褐色の丸いものがあちこちに見えました。 これを覆っている葉を取り除き、褐色のものの中を調べたのが下ですが、葉を取り除いたりしているうちに、次第に乾いてきました。 上と下の写真を比較すると、葉は湿ると開き、乾くと茎に圧着することがよく分かります。
褐色の丸いものは鱗片状の葉に何重にも守られていました。 その重なった鱗片状の葉の中を見ようとしたのが上で、造精器が入っていました。 つまり鱗片状のものは雄苞葉でした。
上は雄苞葉の裏に造精器がくっついているのですが、気泡も入ってややこしくなっていますので、こぼれ落ちた造精器だけを下に載せておきます。
蒴のある時期ですから、もちろん造精器の中は空です。
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