2021-08-30

ウツクシミズゴケ

 

 写真は、以下の観察結果から、ウツクシミズゴケ Sphagnum pulchrum だと思います。

 育っていたのは上のような場所で、イボミズゴケなどと混生していました。 高層湿原の周辺など、いつも水に浸かるような所に生育するようです。

 上は開出枝と下垂枝です。

 上は開出枝の葉です。 下は上の葉先の拡大です。

 腹面から撮っています。 枝葉の先端は狭く、鋸歯があります。

 上は開出枝の葉の断面です。 葉緑細胞はほぼ正三角形で、背面に広く開き、腹面は透明細胞の高さの半分程度にまでしか達していません。

 上の2枚は、下垂枝の葉とその葉先です。 葉先は急に尖っています。

 上は枝葉を取り去った開出枝です。 写真中央上のレトルト細胞の先端はほとんど突出していません。

 上は茎葉です。 茎葉は舌状三角形で、先端はささくれています。

 上は茎葉の先端です。 葉縁の舷はほぼ先端まで達しています。 茎葉先端の透明細胞に貫通する孔はありません。

 上は茎の横断面(一部)です。 表皮細胞はあまり分化せず、木質部との境ははっきりしません。

 観察しての感想 : 和名に「ウツクシ」とありますが、他のミズゴケと比較しても、特に美しい姿とは思いません。 美ヶ原など、どこかの地名に由来しているのでしょうか。

(2021.7.15. 長野県 栂池自然園)

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