秋田県の乳頭温泉郷 標高650m付近の渓流に突き出た岩上で、2021.7.8. に撮影した上のシモフリゴケの仲間(旧Racomitrium属)は・・・
新しく出た葉は光沢の無い緑色ですが、すぐに褐色になっていくようです。 葉は密につき、長さは 1.5~2mmです。
葉は披針形で、中肋は葉頂に達していません。 葉先は尖っています。 葉先の細胞は透明尖にはなっていませんが、パピラはありません。 葉先付近の葉縁は不規則に鋸歯状です。 葉身上部の細胞は正方形~短い長方形です。 葉身細胞には、隔壁上にかぶさるようにこぶ状のパピラがあります。
葉の基部の中肋は葉身部の縦ひだの間に枕生しています。 葉の基部の葉身細胞は長い矩形で縦壁は波状に肥厚しています。
上は葉先から1/3ほどの所の葉の横断面で、中肋は薄く、2層のほぼ同形の細胞で構成されており、ガイドセルはありません。 葉縁は2細胞層です。
平凡社の図鑑にあるRacomitrium属は大きく変化しています(こちら)。 以上の観察結果をいろいろなデータを寄せ集めて検討した結果、コエノスナゴケ Dilutineuron brevisetum ではないかと思います。 しかしこの和名は岩月(2011)の「日本産セン類の和名リスト(Ⅱ)」にはあるのですが、平凡社にも野口にもありません。 ネット検索で図や詳しい特徴を書いたものも探したのですが、見つけられませんでした。 しかし、Racomitrium brevisetum のタイプ標本はサハリンで、極東ロシアに分布の中心があるようですので、秋田県の標高650mにある可能性も否定できないのではないかと思います。
なお、写真のコケは、いろいろな特徴がナガエノスナゴケ Dilutineuron canaliculatumに似ているのですが、葉縁は2細胞層であったり、葉の断面で中肋の腹面が凹んでいるなど、ナガエノスナゴケではないように思います。








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