2021-08-25

テリカワキゴケ

 

 岩上に育っていた写真のコケ、テリカワキゴケ Bucklandiella nitidula だと思います。

 葉の長さは2~3mm、胞子体の長さは7mmほどです。

 上は葉です。 中肋ははっきりしていて、葉先に届いています。

 葉の先端は透明尖になっています。 透明尖にバピラなどはありません。

 葉縁基部には波状に肥厚しない数個の細胞が1列に並んでいます。 細胞にパピラはありません。

 上は葉先近くの葉の断面です。 葉身は1細胞層です。 細胞間の細胞壁が少し膨れているのは偽乳頭でしょう。

 上は蒴です。 蒴歯は短く、壺の長さの1/7ほどしかありません。

 蒴歯は糸状で、細かいパピラに覆われていて、所々不規則に2~3裂しています。

 従来のシモフリゴケ属( Racomitrium )は5属に分割されていることはこちらに書きました。 結果として非常にすっきりした印象を受けます。 本種も一昨日載せたトカチスナゴケと同じ属( Bucklandiella:クロカワキゴケ属)であることは、顕微鏡を使えば、よく分かります。

(2021.7.15. 長野県 栂池自然園)

◎ テリカワキゴケはこちらにも載せています。

0 件のコメント: