2022-09-19

シロバナウツボグサ・ウツボグサ・タテヤマウツボグサ

 上は北八ヶ岳の麦草峠付近で見たシロバナウツボグサ Prunella vulgaris ssp. asiatica f. leucocephala です(撮影:2022.9.5.)。 ウツボグサの品種で、ウツボグサ自体がセイヨウウツボグサの亜種とされていますので、このような長い学名になってしまいます。
 花冠は上唇が兜状で、下唇は3裂して中央の裂片の縁は細かく切れ込んでいます。 このような下唇を持つ花は、ウツボグサの仲間以外では、あまり例がありません。

 上は花穂を真上から見ています。 花冠の無いガクを見ると、ガクも2唇形で、下唇は2裂しています。
 この花は点々とあちこちにたくさん咲いていたのですが、花の最盛期は既に済んでいて、腋芽が伸びた先についた花穂の花で、本来の花穂の姿ではなく、図鑑を見ても白い花のウツボグサは載っておらず、名前調べには苦労しました。

 花の中を覗くと、オシベが4本ありますが、その花糸の先に凸起があります。

 ウツボグサの仲間は花穂が特徴的なのですが、上の写真のように花穂に花は残っていませんでした。

 上が大阪などでも日当たりの良い草地でよく見るウツボグサです。 最近は見かけてもスルーしてしまうので、上も 2010.6.5.に富田林市の錦織公園で撮った古い写真です。 学名も、属名の Prunella は「扁桃腺炎」を意味し、その治療に使われたことに由来しますが、種小名の vulgaris は「どこにでもある」の意味です。

 花穂の一部を拡大してみました(上の写真)。 花冠の無い所を横から見ても、なかなか複雑なつくりをしています。 ガクは2唇形で、上唇には3歯があり、下唇は2裂しています。 ガクの下にはうちわ形をした大きな苞葉があります。

 日本のウツボグサ属にはもう1種、高山に育つタテヤマウツボグサがあります。 こちらは日本固有種です。


 上は 2021.7.16.に八方尾根で撮ったタテヤマウツボグサ Prunella prunelliformis です。 別種ですから、葉の形や苞の形などなど、いろいろと違いがあるのですが、いちばん変異の少ない違いとして、本種のオシベの花糸の先には凸起がありません。が、その写真は撮っていませんでした~(>_<。)\

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