上は北海道の泉田さんが2022.9.19.に支笏湖近くの林道で撮影された写真で、倒木上に育っていたコケです。 調べた結果は、フトスジニセオキナゴケ Paraleucobryum enerve のようです。 分布の中心は高山帯で、北海道と本州に分布します。
属名は Leucobryum(シラガゴケ属)に似ているところからで、平凡社の図鑑にも、“どことなくシラガゴケに似た白っぽい色をしている。”と書かれてあるのですが、上の写真を見ても実物を見ても、「どことなく」であり、そんなに白い色ではありません。
比較的大型で、全形はシッポゴケ属に似ています。 葉は落ちやすく、長く伸びた茎では所々葉の無い所があります。 観察中もよく葉が落ちました。 下の写真でも、よく見ると茎から離れた葉が引っかかっています。
茎には仮根が密生しています。 葉は長さ5~8mmで、葉先はあまり曲がっていません。 写真の左下を見ると葉からも仮根が出ているように見えますが、混んでいてよく分かりません。葉を1枚取り出して確認すると・・・
葉の上部から仮根が出ています。
上は葉の基部です。 本種の種小名 enerve は「無脈の」という意味で、たしかに中肋がはっきりしません。 これは中肋が無いのではなく、下の葉の断面で分かるように、葉身部の大部分が中肋です。 和名の「フトスジ」の「スジ」も中肋のことでしょう。 なお、同属で本種に似たナガバノシッポゴケは、もう少し中肋の幅が狭くなっています。
上は葉の基部から1/5ほど葉先に進んだ所の葉の断面です。 葉はU字形で、背面は平滑です。 大部分が中肋ですが、中肋にはガイドセルもステライドもありません。 これが Paraleucobryum(ナガバノシッポゴケ属)の大きな特徴です。
上は葉先です。 葉縁は葉全体をとおして全縁です。
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