2015-04-14

フソウツキヌキゴケ


 上の写真、フラッシュを光らせていますので、水滴が光って見えますが、水の滴り落ちる崖にもかかわらず、遠目には乾燥して緑を失いつつあるように見えた苔類がありました。


背面

腹面

 拡大してみると、葉(側葉)に腹片は無く、葉の頂の間の距離は0.5mmほどでした。 また腹葉は茎幅の1.5倍ほどで、1/3~2/3ほど2裂し、縁は全縁です(上の写真)。

 以上のことから、写真の苔類はツキヌキゴケ科のツキヌキゴケ属( Calypogeia )でしょう。 植物体の色合いなどからは、フソウツキヌキゴケ C. japonica ( =ツクシホラゴケモドキ C. tsukushiensis )ではないかと思うのですが、この種の葉身細胞の油体は「微粒の集合で眼点がある」とのことなのですが、このことは確認できませんでした。
 なお、フソウツキヌキゴケとツクシホラゴケモドキとは同種異名です(こちら)。
(2015.4.12. 堺市南区豊田)

(以下、2015.5.24.追記)



 無性芽をつけているフソウツキヌキゴケ(=ツクシホラゴケモドキ)がありました。 茎が上に持ち上がり、その先に緑色の粉状の無性芽を付けています(上の写真)。


 この苔に関しては前回はあるはずの油体を確認できませんでしたので、再度顕鏡観察してみることにしました。 上の写真がその材料としたもので、この春に苔の上に伸びたと思われる新鮮で土の付いていない部分です。


 上は側葉の顕微鏡写真です。 葉緑体とは明らかに違う、眼点がある油体がたくさん見えます。 下はその倍率を高くした写真です。


 時期的なものなのか、生育環境によるものなのか、理由は分かりませんが、こんなにたくさんある油体が前回見られなかったのが不思議です。
 油体があると分かって改めて見直してみると、油体の存在は側葉に限らず、腹葉の細胞にもたくさん見られました(下の写真)。


(2015.5.20. 東近江市)