2015-04-02

コバノチョウチンゴケ

 下は2月10日に富田林市の錦織公園で撮った写真です。 垂れ下がった深い緑と新しく伸びだした明るい緑との対比が目を引きます。


 下は垂れ下がっている部分の拡大です。 葉の中央付近から先端にかけて鋸歯があります。


 これと同様なコケはその後あちこちで見かけ、次第に明るい緑の部分が長くなってきていましたが、みんな同じコバノチョウチンゴケ( Trachycystis microphylla )でしょうし、詳しく調べるのは胞子体ができてからにすることにしました。
 そして3月31日に畝傍山で、下の写真のような立派な胞子体を付けた状態のものを見つけたので、持ち帰って調べることにしました。




 茎は枝分かれしています。 このコケの葉を顕鏡すると・・・


 上の写真は葉の腹面(いわゆる「表」)を見ています。 中肋はやや蛇行して先端に達しています。 葉の中央より先では鋸歯が目立ちます。 これを背面(いわゆる「裏」)から見ると・・・


 葉の先近くの中肋には数個の歯があります。


 上は葉の基部近くですが、プレパラートを作る段階で一部が折れ曲がってしまいました。 この折れ曲がった稜の部分では細胞を横から見ることになりますが、稜の部分が凸凹しています。 下は赤い四角で囲った部分を拡大したものです。


 凸凹しているのは、それぞれの細胞に大きなパピラがあるためです。


 上は葉の中央部付近の縁です。 葉身細胞は丸みを帯びていますが、葉の縁の細胞は長方形です。 最初の頃はこの長方形を舷だと思い、 コバノチョウチンゴケの葉には舷が見られないはずなのに・・・と思っていたのですが、これくらいの細胞の形態の違いでは舷とはされないようです。


※ コバノチョウチンゴケは様々な場所で見られるコケで、ここに載せた写真も複数の日時と場所で採集したものを使用しています。
 胞子体をつけたコバノチョウチンゴケはこちらにも載せています。 また、雄花盤をつけた雄株の様子や葉身細胞のサイズなどはこちらに載せています。