2018-10-18

シャジクモ


 写真は水中に生えているシャジクモ属の一種で、たぶんシャジクモ Chara braunii だと思います。 和名は上から見た時の様子が車軸に見えることからです。
 この仲間は、分類学的には緑藻にもコケ植物以上の陸上植物にも含まれず、独立した車軸藻綱にまとめられています。



 主軸も、そこから輪生状に伸びる部分も、節と節の間は多核体の非常に細長い節間細胞からできていて、節の部分は複数の節部細胞と呼ばれる小さな細胞からできています。 この節についている褐色の粒を顕微鏡下で(=透過光で)観察すると・・・


 褐色の粒に見えたのは雌性生殖器で、中にある1個の卵胞子が透けて見えています。 雌性生殖器の壁は、螺旋状にねじれて先端に突起を持つ5個の細長い細胞で構成されています。 下の写真は反射光で撮ったもので(深度合成しています)、雌性生殖器の壁を構成する細胞の様子が分かります。
 上の写真でも下の写真でも、この雌性生殖器の下に2個の丸いものも見えます。 これは有性生殖器(または造精器)で、中に精子を形成します。


 車軸藻類は陸上植物と合わせて(緑藻は含まない)、ストレプト植物と呼ばれています。 ストレプト(strepto-)はギリシア語で「螺旋」を意味しますが、これは精子が螺旋状にねじれていることに由来するもので、上記の雌性生殖器の壁を構成する細胞の螺旋とは関係ありません。

(撮影:2018.10.13.)

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