上は 2022.5.23.に箕面公園で撮影したコケで、大きな礫岩上に育っていました。 蒴をつけている姿や顕微鏡で葉を観察した結果からナガハシゴケだと思ったのですが、平凡社の図鑑を見ると「(ナガハシゴケは)樹幹や枝に着生する。」と書かれています。 私も何度もナガハシゴケを見たことはあるのですが、いつも樹幹や枝で、岩についているのを見た記憶がありません。 ナガハシゴケではないのかもしれないと疑問を持ち始めると、なんだか葉も細すぎるように思いました。
ナガハシゴケに似たコケを図鑑で調べても、分かりません。 悩んだ挙句、「岡山コケの会」の世話人代表をしていただいている西村先生に同定をお願いしたところ、やはりナガハシゴケ Sematophyllum subhumile でした。 西村先生によると、植物体が小さく、かつて関先生がセイナンナガハシゴケとしていた型かと思うということでした。 ナガハシゴケとセイナンナガハシゴケは内蒴歯の間毛の有無で区別されていたが、はっきりとした区別点ではないように思うということでした。 なお、本種は岩上にも育つようです。
枝の幅は葉を含めて約1mmです。 上の写真の蒴柄の長さは約6mm、平凡社では本種の蒴柄の長さは3~10mmとなっています。
上は枝葉です。 平凡社の図鑑では長さ1~1.5mmとなっていて、上の写真にもあてはまります。 最初に葉の形を問題にしたように、今までに見た本種の葉より細い印象なのですが、図鑑には狭卵形~披針形となっていますから、こんなものなのかもしれません。
葉の基部の細胞は黄色で、翼部の細胞は大きな楕円形です。 中肋はありません。
葉身細胞は幅約5μm、長さは60~80μmでした。
今回のナガハシゴケは胞子を散布していましたが、これまでに載せた本種を策の様子に注目して一覧にしてみました。
5月下旬 胞子散布開始時期(今回とほぼ同じ)
6月中旬 帽をつけた若い蒴
9月下旬 胞子散布ほぼ終わり
このようにしてみると、本種の胞子散布時期は、定まっていないのか、少なくとも特定の時期のみではないようです。
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