2024-07-06

シロホウライタケ

 スギの枯れ枝についていたシロホウライタケ Marasmiellus candidus(ハラタケ目ツキヨタケ科)です。 傘は膜質で、雨の影響が残っていて、透明感があります。 ひだは疎で不規則に波打っています。 柄の最下部が黒ずんでいます。

 本種は老成するにしたがって、上の写真のように柄の下部から次第に黒ずんできます。 見た目がよく似たきのこにアシグロホウライタケがあり、和名の「足」は柄のことですが、こちらの黒は褐色みを帯びていますし、ひだを含めた傘の様子も少し異なります。

(2024.7.6. 箕面公園)

2024-07-05

チラカゲロウ

 写真はチラカゲロウ Isonychia japonica だと思います。 分布は全国で、4月~10月に見られるとのことです。
 成虫の体色は暗赤褐色、翅には模様がなく透明、脚は前脚が暗褐色で、中・後脚は淡黄色です。 なお、亜成虫の翅は暗灰色です。
 カゲロウ目の尾毛は3本のものが多いのですが、本種の尾毛は2本です(上の写真ではくっついていて1本のように写っています)。

(2024.7.4. 箕面公園)

2024-07-03

ハンゲショウ

 水辺に咲くハンゲショウ Saururus chinensis(ドクダミ科)です。 属名はラテン語で「トカゲの尻尾」の意味です。

 上はハンゲショウの葉の影から顔を出していたトカゲの仲間のカナヘビですが、もちろんカナヘビの存在とハンゲショウとは関係なく、属名は細長い花序の形からでしょう。

 花序の近くの葉はほぼ半分が白くなっています。 花そのものは小さく、あまり目立ちませんが、この葉の白さで虫に花の存在を知らせているのでしょう。

 上は花の拡大です。 花の基部には苞葉がありますが、ガクも花弁もありません。 オシベは6(~7)本で、メシベの先端は(3~)4(~5)裂しています。

 このハンゲショウの名の由来は何でしょうか。 よく「半夏生」という漢字が充てられますが、この植物と漢字の意味とが、いまひとつつながりません。
 雑節(下に書きます)の1つに「半夏生(はんげしょう)」があります。 今年は7月1日でした。 単に「半夏生の頃に咲く植物」だからでしょうか? 調べてみました。

 「半夏(はんげ)」は平安時代にはよく知られた漢方薬だったようですが、これはカラスビシャクの塊茎です。 半夏は現在でも生姜(ショウキョウ:いわゆるショウガ)と組み合わせて嘔気や嘔吐を治す漢方薬として用いられているようです。 雑節の半夏生は、「半夏が生じる頃」から来ていると思われます。
 一方、写真のハンゲショウは、花の近くの葉の半分が白くなることから、「半化粧」ではないかと思われます。 そして「半夏生」と「半化粧」は読みが同じことから、入り混じってしまい、植物にも「半夏生」の漢字が使われるようになったのではないでしょうか。
 なお、写真のハンゲショウも「三白草(サンパクソウ)」の名で、やはり生薬として使われますから、これも混乱の一因になっているのかもしれません。

 以下、雑節の半夏生について少し書いておきます。 太陽の位置によって1年を24等分した二十四節気はよく知られていて、夏至もその1つですが、この二十四節気の他にも、季節の節目を示す日がいろいろあり、雑節と呼ばれています。
 半夏生は、かつては夏至から数えて11日目にあたる日とされていましたが、現在は太陽が天球上の黄経100度を通過する日とされています。 現在は温暖化の影響やイネの品種改良などで田植えの時期も変わりましたが、かつては良い米を得るには夏至から半夏生の間に田植えをすればよいとされていました。 そして田植えの労を慰め、豊作を祈る日が半夏生でした。
 我家の本籍は大阪市内ですが、妻の実家は大阪府の南河内で、半夏生(「はげっしょ」と言っていました)の日には「タコ」と「あかねこ」を食べたそうです。 「タコ」はタコの足のように稲が大地にしっかり根付き、たくさん実るようにとの願いからのようです。 「あかねこ」はもち米と小麦粉をついてできたもちで、昔の自家製の小麦粉は、皮ごと粉に挽いていたため赤っぽく(というよりは褐色)、また、もちの見た目が猫の丸い背中に似ていたことからのようです。