2017-07-06

ウチワチョウジゴケ



 上はウチワチョウジゴケ Buxbaumia aphylla です。 岩上に薄く蘚苔類が育っている場所にありました。 配偶体は退化し、胞子体のみが目立ちます。 少し持ち帰って実体顕微鏡で胞子体の周囲を注意深く観察しましたが、配偶体は分かりませんでした。 Campbellら(1918)によれば、動植物の死骸から栄養を得る腐生植物として生活しているようです。 また、体内に共生する菌類から栄養を得ている可能性も指摘されています(Schofield W. B., 1985)。
 平凡社の図鑑では、ウチワチョウジゴケの属するキセルゴケ科にはイクビゴケクマノゴケなどが入っています。 しかし最近の分子系統学的な解析によれば、後者は別の分類群(イクビゴケ亜綱)に分けられ、下のような系統樹が書かれています(Goffinetら, 2004)。









(Wikipediaより引用)

(2017.6.13-15. 北八ヶ岳

こちらには蓋が取れて蒴歯の見えているウチワチョウジゴケを載せています。


2017-07-05

イワダレゴケ(胞子体や葉など)


 蒴をつけることが稀なイワダレゴケ Hylocomium splendens が蒴をつけていました。


 コケの場合、下に隠されている別のコケの胞子体が見えていることもよくあるので、慎重に確認しました(上の写真)。


 イワダレゴケは茎葉と枝葉の大きさがずいぶんと違います。 また茎の表面は多くの毛葉で覆われています。


 上は茎葉です。葉身部は卵形から急に細く屈曲した葉先になります。 葉先の基部にはくびれがあります。 中肋は2本です。


 上は枝葉です。 もちろん茎葉とは拡大率は異なります。 中肋はやはり2本で、中部以下で終わっています。


 上は枝葉の葉身細胞です。

(2017.6.13. 北八ヶ岳)

◎ イワダレゴケはこちらこちらにも載せています。


2017-07-03

サクライキリシマゴケ


 上はサクライキリシマゴケ Herbertus sakurai でしょう。 色は緑褐色です。 岩上にありました。


 上のように拡大してもややこしいのですが、上は腹面から撮ったもので、左右に広がる葉(側葉)も、それとほぼ同じ形で少し小さな腹葉も、2/3ほどまで狭V字形に2裂しています。 また、鞭枝も写っています。


 上は1枚の葉です。 葉は深く切れ込み、葉鞘部の幅は切れ込み開始位置よりもかなり広くなっています。 苔類ですので中肋はありませんが、上の写真で少し明るく見える中肋様のものが各裂片の中央にも伸びているようです。 これがビッタ(vitta)と呼ばれているものです。


 上は裂片中央付近の葉身細胞で、写真の下方には細長いビッタ細胞が写っています。 また下の写真は葉掌部の縁に近い所の葉身細胞です。 油体は米粒形で、ほぼ均質です。


(2017.6.13. 北八ヶ岳)

2017-07-02

リンゴマダラヨコバイ



 写真はリンゴマダラヨコバイ Orientus ishidae だろうと思います。 アカメヤナギの葉の上にいました。 広食性で、リンゴだけではなく、いろんな広葉樹に付くようですが、アカメヤナギの葉で吸汁していたかどうかは確認できませんでした。

(2017.6.27. 堺自然ふれあいの森)

2017-07-01

タチハイゴケ



 タチハイゴケ Pleurozium schreberi は、和名に「ハイゴケ」とありますが、ハイゴケ科ではなく、イワダレゴケ科に分類されています。 亜高山帯の針葉樹林林床ではよく見られるコケですが、生えている場所により、その姿はいろいろと変化します。 上の写真の1枚目は立ち上がっていますが、2枚目は這っています。 茎が赤いのは共通ですが、これも葉が茎を覆っている所では見えません。
 葉は、茎葉は茎に張り付いていて、枝葉は開いています。 この枝葉は葉先が鋭頭に見えますが・・・

 上は枝葉です。 葉の上部の縁が内曲していて凹んだ葉面の内側に入っているため、1・2枚目の写真では葉先が尖ったように見えています。

 上は茎葉です。 茎葉は折れ曲がりが無く、葉先は広い円頭になっています。 このように枝葉と茎葉で大きさや形が異なることはイワダレゴケ科ではしばしば見られます。
 枝葉にも茎葉にも短い2本の中肋があり、翼細胞は褐色の明瞭な区画を作っています。


 上は枝葉の葉身細胞です。 厚壁で、45~65μmほどの長さがあります。


 翼細胞は丸みのある方形~矩形です(上の写真)。

(2017.6.14. 2016.7.20. 北八ヶ岳)

こちらには蒴をつけたタチハイゴケを載せています。