2015-05-06
ハナイバナ(キウリグサとの比較)
ハナイバナ( Bothriospermum tenellum )は漢字で書くと「葉内花」で、葉に囲まれて花をつけるという意味でしょうが、たぶんよく似ていてもっと普通に見られるキウリグサ(キュウリグサ)( Trigonotis peduncularis )に対しての名前でしょう。
上の写真は左がキウリグサで、右がハナイバナです。 どちらも花が1輪咲いていますが、キウリグサの花の下には花の終わった後しかありませんが、ハナイバナの茎には花(の終わった後)に対応して葉が見られます。
しかし、この時期のキウリグサは上の写真のような姿ですが、咲き始めの時には、ハナイバナのように葉のすぐ上に花が咲きます。
ハナイバナとキウリグサは、同じムラサキ科でよく似ています。(ムラサキ科の花序の特徴はキウリグサのところで書いていますので、今回は略します。) もちろん異なる植物ですから、いろいろ違いはあるのですが、花の色も微妙に異なります。
上の写真も左がキウリグサで右がハナイバナです。 これらの花では、花冠の一部が花の内部に突き出していますが、これを副花冠と呼ぶことにします。
キウリグサの花冠は薄い空色で副花冠が黄色であるのに対し、ハナイバナの花冠は薄い空色の一部に紫色を帯びていて、副花冠は白色です。
最初に書いた学名を見比べてください。 ハナイバナとキウリグサは別種どころか、別属です。 なぜこんなに似ているハナイバナとキウリグサが別属なのか、理解し易い違いは分果にあります。
これらの植物では、花後にできる果実は4つに分かれています。 ここまでは共通なのですが・・・。
上はハナイバナの花後の姿です。 ガクに包まれて丸い分果が4つあります。 分果は全面に突起があります。
上はハナイバナの分果をバラバラにしたものです。 分果には小穴があります。
上はキウリグサの花後の姿と分果です。 分果は四面体形で、その1つの角に短い柄があり、表面はなめらかです。 なお、バラバラにした分果の倍率は、ハナイバナとキウリグサで同じにしてあります。
分果の中には種子があるわけで、子孫を残すことに関する大切なものがこれほど異なっていれば、属が違っても当然という気がします。
ちなみにハナイバナの属名 Bothriospermum はギリシャ語の bothrion(小穴)+ sperma(種子)からきており、キウリグサの属名 Trigonotis はギリシャ語の trigonos(三角)+ ous(耳)から来ていて、どちらも分果の形からきています。
(2015.4.27. 堺自然ふれあいの森)
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