朽木の上で育っていた上の写真のコケ、蘚類は
ヘリトリシッポゴケで、無性芽をつけている苔類はミヤマホラゴケモドキ
Calypogeia integristipula だと思います。 本種は主にブナ帯より上部に分布するコケで、撮影場所は兵庫県の標高 400m付近ですが、風穴からの冷風にいつもさらされている場所です。 ヘリトリシッポゴケの色と比較すると分かるように、本種の葉は黄緑色です。
葉は広卵形で全縁、円頭または少し凹頭です。 腹片はありません。 腹葉は葉より明らかに小さく、横長の円形で、先端は凹んでいます。
上は葉の葉先付近の顕微鏡写真です。
タカネツキヌキゴケは本種と同属でよく似ていますが、このコケの葉の背縁の細胞は中央部の細胞に比較して明らかに細長くなるのに対し、本種の場合はほぼ同じ長さです。
葉身細胞のトリゴンは小さく、油体はブドウ房状~小球が1列につながった姿をしています(上の写真)。
ピントをずらすと、油体などはボケますが、細胞表面にある小さな微小突起(ベルカ)の存在が確認できます(上の写真)。
(2020.8.4. 兵庫県佐用町)