2019-09-21

フォーリーイチョウゴケ


 写真はフォーリーイチョウゴケ Lophozia longiflora だと思います。 ちなみに、フォーリーはフランス人宣教師で、明治期に日本で植物採集を熱心に行っています。


 葉はゆるく重なっています。 上の写真では茎が黒くなってしまい、腹葉の有無が分かりづらくなっていますが、腹葉は確認されませんでした。


 葉は 1/3ほどV字~放物線状に2裂し、裂片は鋭頭、側縁はわずかに円弧状に張り出しています。


 上は葉身細胞です。 油体は微粒の集合です。
 本種とよく似たタカネイチョウゴケは、側縁の張り出しがもう少し強く、油体には眼点があります

(2019.9.14. 北八ヶ岳)

こちらには花被のあるフォーリーイチョウゴケを載せています。


2019-09-20

タカネスギゴケ



 岩から垂れ下がるコケ、葉先は短く芒状になっています。 厚くみえる葉の様子からスギゴケ科だろうとは想像できます。 当初は葉縁が内曲して薄板を覆っていることから、スギゴケと思い込んでいましたが、調べ直してみると、タカネスギゴケ Pogonatum sphaerothecium でした。 蒴があれば、すぐに分かったのでしょうが・・・


 茎の高さは1cmあまり、葉の長さは3mmほどです。 新しい葉は緑色で芒は白色ですが、(昨年の?)古い葉(枯れてはいません)は褐色で芒も褐色です。 そして、その下の茎だけのように見える所も、よく見れば葉の基部が残っていますから、年々新しい葉をつけながら伸びているように思います。 これで4年目かもしれません。


 乾いて茎に接着している褐色の葉を起こしてみました(上の写真)。 鞘部は半透明で、そこから披針形に伸びる部分では、葉の縁が左右から腹面を覆い、その隙間が溝状に見えています(黄色の矢印の部分)。


 上は葉の披針形に伸びる部分の横断面です。 このように葉縁が内側に折り畳まれて薄板の上を覆うスギゴケの仲間には、本種の他にスギゴケ属のスギゴケ、ハリスギゴケ、ノルウェースギゴケがあります。
 下は薄板の様子がよく分かるように、上の一部を拡大したものです(少し回転させています。)

 薄板は6細胞以上の高さがあり、頂端細胞は卵形で上縁の細胞壁はとても厚くなっています。


 上は鞘部の細胞です。


 上は、葉(の鞘部)に抱かれた茎の断面です。 茎には中心束が見られます。 中心束の右下にある色の濃い細胞の集団はレプトーム(leptome)と呼ばれる部分でしょう。 レプトームはスギゴケの仲間に見られる組織で、有機物の通導が行われているとされています。

(2019.9.14. 北八ヶ岳)

2019-09-19

オオフサゴケ



 写真のコケは、オオフサゴケ Rhytidiadelphus triquetrus です。 土を被った岩上から立ち上がり、茎頂を少しうつむき加減にして育っていました。
 上の写真では実際の大きさが分かりにくいので・・・


 10円硬貨と比較してみました。 かなり大きなコケで、不規則な羽状に分枝しています。 若い茎は赤いのですが、次第に黒ずんでくるようです。


 茎葉の長さは4mm前後あります。 枝葉は茎葉と似た形で、やや小型です。


 葉の基部は茎を両側から抱いていますので、カバーグラスをかけると、どうしても折り畳まれてしまいます。 中肋は細くて肉眼では分かりにくいのですが、2本あり、葉の中部以上に達しています。
 葉が大きいので、上の倍率では細部まで分かりませんが・・・


 上部の葉縁には鋭い歯が並んでいます。


 葉の上部の背面では、多くの細胞の上端が刺状に突出しています(上の写真)。


 腹面には刺状の突起は見られません。 葉身細胞は線形です。

(2019.9.14. 北八ヶ岳)

◎ オオフサゴケはこちらこちらこちらにも載せています。


2019-09-17

チャケビラゴケ



 上はチャケビラゴケ Radula brunnea を腹面から撮った写真です。 葉を含めた茎の幅は2mmほどでした。 葉は背片と腹片からなり、その直下から、小さな葉を3~5対つけた短い枝(尾状枝と呼ばれています)を出しています。 背片は卵形で全縁、腹片は円形で背片の1/2ほどの長さです。 腹葉はありません。
 このコケは、私は見つけられず、M氏が採集されたものを撮らせてもらっただけですので、育っている所の写真も、顕微鏡レベルの写真もありません。

(2019.9.14. 北八ヶ岳)

◎ 花被をつけたチャケビラゴケをこちらこちらに載せています。


2019-09-12

ニブハタケナガゴケ


 写真はニブハタケナガゴケ Ectropothecium obtusulum のようです。


 上が育っていた場所で、溝の底面の黒っぽく見えているのが本種です。 人家の近くの溝ですが、近くに山があって勾配があり、やや急な流れです。 ちなみに、水近くの緑色をしたものはカマサワゴケでしょう。


 1枚目の写真は葉のある枝を選んで撮ったのですが、実際には葉のある所は少なく、葉の無い黒っぽい茎や枝が多く、2枚目の写真のように、離れて見ると、全体的に黒っぽく見えていました。 本種の生育にとって最適な環境とは言えない場所なのかもしれません。


 平凡社の図鑑では、「翼部には大形で透明な薄壁の細胞が1個ある。」と書かれています。 上の写真の赤い矢印の細胞かもしれませんが、はっきりしません。


 上は葉身細胞です。 平凡社の図鑑では細胞の長さは 80~100μmとなっていますが、上の写真では 30~60μmほどしかありません。 十分伸びることのできない環境なのでしょうか。

(2019.9.11. 兵庫県宝塚市平井)

◎ ニブハタケナガゴケはこちらこちらにも載せています。