2015-12-05

イクタマユハケゴケ


 崖の窪みの奥に育っていた写真のコケ、上から落ちる水滴が放射状に広がる葉に引っかかり、キラキラ輝いていました(2015.12.2. 堺自然ふれあいの森)。


 小さなトゲのようなものがたくさん集まって菊花状になっています。 このトゲの1つずつが無性芽です。 さらに拡大すると・・・


 無性芽は小葉状です。 上の写真では、取れた無性芽があちこちに引っかかり、浮いているように見えています。


 横から撮ると、上の写真のようになります。

 このコケ、少し緑が濃いかな、とは思いつつ、顕微鏡での観察も行わずにシシゴケ( Brothera leana )としてブログに載せていました。 しかし、イクタマユハケゴケを調べてから(こちら)、写真のコケとどう違うのか疑問に思い、今日(2020.2.2.)標本を調べ直してみました。


 4年以上前の標本で、緑色はほとんど失われていました(上の写真)。




 上の3枚の写真は、1枚目は葉先付近、2枚目は葉の中部、3枚目は葉の基部付近です。 シシゴケはシラガゴケ科で、中肋と葉身細胞の境はもっと分かりにくいはずです。


 上は葉の断面です。 シシゴケならガイドセルもステライドも無く、葉緑細胞が中層にあるはずですが、そのようなつくりの葉ではありません。 マユハケゴケかイクタマユハケゴケのようです。 両者の違いは無性芽の中肋の有無に表れます。



 上の2枚は無性芽で、1枚目は腹面から、2枚目は横からです。 明らかに中肋がありますので、イクタマユハケゴケ Campylopus gemmiparus だったようです。

 (最終更新:2020.2.2.)