2015-12-12

ヤワラゼニゴケ


 上は自生のヤワラゼニゴケ( Monosolenium tenerum )です。 拡大していますので白い小斑が目立ちますが、肉眼的にはケゼニゴケに似ているようにも見えました。 しかし・・・


 裏についている土を取り去り、白い背景で撮ると、葉状体は薄く透き通っていて、1枚目の写真のように濃い色に見えたのは、下の土の色が影響していたようです。


 ヤワラゼニゴケは雌雄同株です。 上は葉状体の先の部分を撮ったもので、雄器托(左)と雌器托(右)が並んでいます。 たくさんの雄器托と雌器托が見られる時期だったようで(1枚目の写真にもたくさん写っています)、以下、これらをもう少し詳しく観察することにしました。


 上の写真の中央にあるのが横から見た雄器托です。 イボイボのついた厚みを持った盤状で、短い柄で葉状体とつながっています。


 上の写真は、葉状体(下)と柄でつながっている雄器托(上)の断面で、この雄器托の一部をさらに拡大したのが下の写真です。


 上の写真の中央の少し色が濃くなっている所が造精器ではないかと思います。 ここで作られた精子が“イボ”に続く通路を通って放出されるのではないでしょうか。


 上は雌器托を横から撮ったものです。 ヤワラゼニゴケの葉状体の縁はよく波打っているので、分かりにくい写真になってしまいましたが、縁が波打った円盤に柄をつけた傘のような姿で、やはり短い柄の部分で葉状体とつながっています。 雌器托の右下には雄器托も写っています。


 雌器托は葉状体の先端につきます。 上は葉状体(左)から半分はみでた雌器托を下から(葉状体の腹面から)撮ったもので、あちこちにくぼみがあります。 このくほみの奥に造卵器があります。


 上は雌器床(雌器托の円盤状の部分)をスライスして断面を見たもので、数個の造卵器が集まっています。 ヤワラゼニゴケは世界に1科1属1種で、さすがに造卵器は苔類としてはユニークで、多数の細胞からなる長い首を持っています。


 上は葉状体の断面で、上が背面、下が腹面です。 葉状体には特別な分化は見られません。 背面側にある色の濃いものは油体でしょう。
 一緒に写っているチューブ状のものは切片を作る時に一緒に切れた仮根です。 苔類の仮根は単細胞です。 またゼニゴケ目の仮根には有紋型があり、ヤワラゼニゴケでは上の写真のように紋の無い仮根と有紋型の仮根が混在します。

(2015.12.9. 京都市 西芳寺川)

2 件のコメント:

  1. 深く掘り下げて観察されていてとても勉強になりました。
    断面も見せていただけて感激です。
    ありがとうございます。

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    1. 後ろから2枚目の写真に関して、M氏からは雌器床の断面を見ると竜の顔のように見えると聞いていたのですが、眼になる胞子体の成熟には早すぎたようです。造卵器の長い首を見ることができたのは良かったのですが・・・。
      いろんな時期に見なきゃいけませんね。

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