2016-10-12

ホソバミズゴケ ①胞子体


 上は7月20日に北八ヶ岳(標高2,000m付近)で撮ったホソバミズゴケ Sphagnum girgensohnii で、褐色の胞子体がたくさん写っています。


 上は胞子体を見上げるようにして撮った写真です。 1枚目写真の褐色の胞子体は、どれも上の写真のように空になっていました。
 ミズゴケ科の胞子体は球形で、胞子体を吊るしているのは偽足または柄と呼ばれていて、配偶体の組織です。 球形の胞子体は破裂するように蓋を飛ばし、胞子を勢いよく吹き出し、スリムな姿になります(詳しくはこちら)。 上の写真の胞子体は、このようにして胞子を出した後に、胞子体を形成する細胞が水を吸収し、再び膨れたものだと思われます。


 まだ偽足が伸びていない、葉と同じような色をした若い胞子体がありましたので(上の写真)、偽足の伸びた“元気な”胞子体を撮ろうと持ち帰りました。


 上は8月7日の状態です。 胞子体は透明な膜状のカリプトラに包まれています。 まだ伸びていない偽足や胞子体の下部は長い雌苞葉に囲まれています。

 そして上が10月10日の撮影です。 胞子体は黒くなり、雌苞葉から少し頭を出し、蓋が扁平なことは確認できますが、偽足はそのままです。 雌苞葉が白く写っていますが、これは乾いているためで、湿ると透明に近くなります。 なお、胞子体を覆っているカリプトラは、胞子体に密着していて、この写真では、その存在は確認できません。
 偽足の伸びた写真を撮ろうと今までブログに載せるのを待っていたのですが、このままではホソバミズゴケについていろいろ調べたことを忘れてしまいそうなので、とりあえずこの段階でブログに載せることにします。
 涼しい所で育てていたのですが、偽足が伸びなかったのは、亜高山帯に生育するミズゴケですから、栽培環境が合わなかった可能性が大きいように思います。

 明日はホソバミズゴケの枝や葉について書くつもりです。