2020-04-24
ヨコグラハネゴケ
写真はヨコグラハネゴケ Plahiochila parvifolia でしょう。 学名については、平凡社の図鑑等では P. yokogurensis となっていますが、片桐らの「日本産タイ類・ツノゴケ類チェックリスト2018」に従いました。 分布は宮城県以南です。
本種の葉は途中から折れ易いのですが(こちら)、上の写真の場合は全くと言っていいほど折れていません。 たぶん時期的な問題なのでしょう。
上は腹面から見ています。 ハネゴケ科の葉は瓦状についていますので、葉の腹縁(腹側の縁)は茎頂方向の縁になります。 なお、葉のつき方を説明する時によく使われる「瓦状」や「倒瓦状」は、腹面から見た時の葉のつき方です(タイ類は腹面が大切です)。
葉先は切頭で数歯があり、背縁はやや外曲(茎と反対の方に巻き込む)し、歯はわずかです。 腹縁には多くの歯があり、腹縁基部はやや耳状に張り出して短く下延しています。 背縁基部の様子は上の写真では隠れていて分かりませんが・・・
背縁基部は長く下延しています。
特に大きく見える葉があったので長さを測ってみたところ、約3mmありました(上の写真)。 多くの葉は平凡社の図鑑にある 1.5~2.5mmの長さです。
上の写真以下、色が赤っぽくなっています。 これは本種については前にも載せていることから後回しにして、50日近く乾燥標本の状態で放置していたためです。
本種は雌雄異株です。 上の写真も腹面からですが、花被があったので、その合わせ目にピンセット差し込んで開いてみたところ、造卵器が見えました(上の写真)。 花被は扇形で1/3まで2裂し、口部には鋸歯があります。
上は顕微鏡で見た造卵器ですが、背後に花被があるので光が十分届かず、手前の葉も除去しきれていないので、分かりづらく、造卵器の頸部だけの写真になってしまいました。
上の2枚は腹葉です。 腹葉は痕跡的で形は様々ですが、基本的には線形で、大きく2裂しています。
上は葉身細胞です。長らく放置していたので油体は消えています。 緑の残っている所との境を撮ってみたのですが、褐色になるのは主に葉緑体のようです。
(2020.3.3. 屋久島)
◎ ヨコグラハネゴケはこちらにも載せています。
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