上は北海道・千歳市の標高700mの土の斜面に育っていたコケです(撮影:2020.9.1.)。 何種類か混じっていますが、以下は葉を横に広げたコケについてです。
葉は浅く2裂して横につき、湿った状態では水平に近い状態に開いています。 葉を含めた茎の幅は 0.7~0.8mmです。
標本を持ち上げると、上の写真のようにたくさんの茎が落ちていました。 上は乾いてきていますので、葉は閉じてきています。
雨の中で採集しようとした時も同様に、茎が手にたくさんくっつきました。 栄養生殖なのでしょう。
腹葉はかなり大きく、三角形です。
上は葉です。
上は葉身細胞です。 大きなトリゴンがあります。
以上が観察結果ですが、苔類であることしかわからず、何の仲間か見当もつかず、またM氏にヘルプ要請。
ヤマトホウキゴケ Nardia japonica だろうと回答いただきました。 本州中部以北の亜高山帯に分布するコケのようです。 平凡社の図鑑には検索表にしかなく、保育社の図鑑にもきわめて簡単な記載しかありません。
M氏から尼川先生の資料(服部植物研究所報告第21号)も送っていただいたのですが、1つ気になるのは油体に関してです。 尼川先生の資料にも平凡社にも油体は均質とあるのですが、眼点があるように見えます。