水飛沫を浴びて岩上に育つコケ、北海道(苫小牧市)のせせらぎで、2020.8.30.に撮影しました。
このコケ、当初はヤノネゴケとしていましたが、SNSでヤノネゴケとミズシダゴケが似ていることが話題に上がり、気になって調べ直してみたところ、毛葉があり、ミズシダゴケ Cratoneuron filicinum であることが分かり、2021.9.23.に写真を追加するとともに、文も大幅に書き直しました。
最初気になったのは植物体の形状です。 最初の写真でもなんとなく分かりますが、上のように整列させてみると、長さの不揃いな短めの枝を不規則な羽状に出しているのが分かります。 ヤノネゴケの分枝はもっと不規則で、羽状とは言えません。
そして毛葉がありました(上の写真)。 ヤノネゴケに毛葉は存在しません。 言い訳になりますが、夏の水辺で茎や枝の表面には藻がはびこっていて、当初この毛葉には全く気づきませんでした。
上は茎葉です。 中肋は強壮で葉先近くに達しています。 葉先は弱く鎌形に曲がっています。 翼部の細胞は明瞭にその近くの葉身細胞から区別できます。
葉身細胞は平らです。 ヤノネゴケの場合は、葉上部の葉身細胞の上端に突起(proration)がでることが多くあります。
上は枝葉です。 ついている場所によって枝葉の大きさは異なり、あまり意味はないのですが、いちおう2枚目の茎葉と倍率は揃えてあります。
上は乾いた状態の枝です。
◎ ミズシダゴケとヤノネゴケの見分け方をこちらに書いています。 また、ミズシダゴケはこちらにも載せています。