2020-09-25

ダイセツヤノネゴケ


 岩上を覆っていた上の写真のコケは・・・


 上は乾いた状態ですが、湿った時と大きくは違っていません。 茎の幅は葉を含めて2mm前後です。 茎葉と枝葉は大きさだけでなく、形も少し異なるようです。




 上の3枚は、いずれも茎葉です。 葉縁にピントが合っていて中央部がボケているのは、葉が凹んでいるからです。 葉先は微凸頭~短く尖っています。 中肋は葉長の 2/3~4/5で終わっています。 翼部は明瞭な区画をつくっていて、基部は広く下延しています。


 葉縁には全周に細かい歯があります。
 以上、ヤノネゴケの葉先を短くしたような茎葉でしたので、ヤノネゴケと同じ属を調べたところ、アラスカヤノネゴケ Bryhnia hultenii や、その変種のダイセツヤノネゴケ var. cymbifolia にたどりつきました。 両者は変種の関係ですので違いはわずかで、後者の方が葉がより覆瓦状につき、葉はより深く凹むなどの違いです。 しかしこれらは両者を並べて比較しなければ分からない違いでしょう。 平凡社の図鑑には両種とも図はありませんので、ここでは Noguchi(1991)の茎葉の図の似ている後者としておきます。 なお、和名に「アラスカ」や「大雪」とありますが、国内の分布はいずれも北海道と本州です。
 以下、もう少し他の特徴も見ておきます。


 上は葉身細胞です。


 葉身細胞の背面上端には小さい突起があります(上の写真)。


 上は右端中央から左上に伸びているのが茎ですが、かなり先の部分ですので、茎葉も少し枝葉に近づいた形になっています。
 枝葉については詳しく触れませんでしたが、上の写真のように披針形をしています。

(2020.8.31. 北海道 千歳市)

◎ ダイセツヤノネゴケはこちらにも載せています。 またアラスカヤノネゴケと思われるコケをこちらに載せています。