垂直に近い岩に育つコケ、2020.6.24.に奈良県宇陀市の標高 500m付近での撮影です。 濡れているのは昨日の雨のせいかもしれませんが、たぶんいつも岩から水がしみ出しているのだと思います。
枝分かれは少なく、葉の長さは 1.5~2.5mmです。
上は1枚の葉です。 葉は披針形で、基部は下延しています。 中肋は葉先近くに届いています。
葉先が気になって何枚かの葉を観察しました。 透明尖がある葉も無い葉もあります。 葉が新しいこともあるでしょうが、透明尖がよく発達する種では無さそうです。
葉の基部付近の細胞は縦壁が波状に肥厚していますが、葉縁基部には縦壁が波状に肥厚しない細胞が1列に、上の写真では6~7個並んでいます。
上はプレパラート作成時に折り畳まれてしまった葉の中部で、細胞を横から見る事ができるのですが、パピラは存在していないようです。
以上の観察結果から、このコケはRacomitrium(シモフリゴケ属)だと思われます。 平凡社のこの属の検索表をたどると、テリカワキゴケ Racomitrium nitidulum に落ちました。 しかしこの種についての解説は無く、保育社の図鑑や野口には名前すらありません。 たぶん最近になって独立させられた種なのでしょう。 ですので分布や生育環境もよく分からないのですが、検索してみると八ヶ岳のリストに上がっています。
とりあえず「?」付きのタイトルにしておきますので、情報をお持ちの方がおられましたら、お教えください。
なお、Racomitrium(シモフリゴケ属)は見直しが行われていて、複数の属に分けられるようです。
◎ こちらには蒴のついたテリカワキゴケを載せています。