2015-06-16

キマエクロホソバ、キベリネズミホソバ



 上はヒトリガ科コケガ亜科のキマエクロホソバ( Ghoria collitoides collitoides )です。 幼虫が地衣を食べて育つコケガの仲間には、キマエホソバマエグロホソバヨツボシホソバなど、「○○ホソバ」という名前の、翅が細い蛾がたくさんいます。 これらの多くは翅を重ねて平たくしてとまるのですが、このキマエクロホソバは翅を立ててとまります。
 似たものが多いと、互いに区別するために名前が複雑になり、間違いも多くなります。 この蛾の名前は、キマエ・クロ・ホソバ と3つの特徴を表しているのですが、保育社の原色図鑑ではマエキクロホソバになっていますし、PCで検索してみるとキマエホソクロバというのも出てきます。


 このキマエクロホソバと同じ属の蛾にキベリネズミホソバ( G. gigantea gigantea )がいます。 上の写真がそうですが、同じ属だけあって、翅のたたみ方も同じですし、色もよく似ています。 名前の比較からその違いを見つけようとすると、「キマエ」に対して「キベリ」、つまり翅の前が黄色であるのに対して、翅の縁が黄色、翅のどの縁が黄色かといえば前の縁ですから、これでは区別点になっていません。 「クロ」と「ネズミ」つまり翅の色の黒色と鼠色との違いですが、たしかに濃淡はあるのですが鱗粉が取れて薄くなれば黒色は鼠色になるでしょう。
 苦心してつけられた和名でしょうが、結局のところ両者をいちばん見分け易いのは、和名には表れていない頭の色でしょう。 頭の色は、キマエ-が黒色であるのに対し、キベリ-は黄色です。
 キマエ-の意味を「体の前が黄色」と理解してしまうと、キベリ-になってしまいます。

(2種とも金剛山で撮影)

3 件のコメント:

わんちゃん さんのコメント...

たまたま頭が少し写っていてキマエホソクロバっとわかったわんちゃんでした。
同じ金剛山にあたまが黄色いのが居たんですね。

わんちゃん さんのコメント...

失礼!肝心な名前が間違ってました、キマエホソクロバ⇒キマエクロホソバ

左木山祝一 さんのコメント...

どちらも金剛山ですが、キベリ-は2012年の7月8日に撮ったものです。
(PCだと写真にマウスを載せると、下欄の最後に撮影日が出ます。)
出現時期はずれていて、キマエーは5~6月、キベリーは6~7月です。

発音するとたしかに「キマエホソクロバ」の方が滑らかなリズムですね。
ホソバガの仲間であることを意識しておくことでしょうかね。