2015-06-28

カビゴケ


 上の写真はクサリゴケ科のカビゴケ( Leptolejeunea elliptica )です。 谷川沿いの広葉樹やシダなどの生葉上に生えることの多い、いわゆる葉上苔の一種ですが、写真のカビゴケは湿った幹の根元にありました。
 カビゴケはとても小さなコケであるうえに、基物に密着し、葉が重なり合ってつく傾向があり、肉眼的には形態もはっきりしません。 それにカビ臭さとは少し異質ですが、特に擦るなどでは強いにおいがします。 カビゴケの和名は、そのような特徴からなのでしょう。


 上の写真、左側は重なり合っていてよく分かりませんが、右側は枝が飛び出しているので、葉の様子がよく分かります。 葉の縁は全縁で、背片と腹片からなります。 上の写真では、葉の所々に他の細胞と異なって小粒を散らしたように見える異形細胞があります。 これは眼点細胞と呼ばれているもので、上記のにおいは、この細胞に含まれている油体に由来するもののようです。(こちらではこの眼点細胞をもう少し大きく撮って載せています。)
 腹葉もあるのですが、上の写真ではピントがずれていてよく分かりません。


 上は腹片に、下は腹葉にピントを合わせて撮った顕微鏡写真です。 腹葉は基部近くまで2裂し、各裂片は広く開いています。


(2015.6.17. 岩湧山 標高350m付近)

◎ 本種の胞子体はこちらに、造精器はこちらに載せています。