2020-07-28

サンコタケ


  上は 2020.7.22.に大阪府の箕面公園で撮影したサンコタケ Pseudocolus schellenbergiae (スッポンタケ科)で、腹菌類の一種です。 3本(時には4~6本)の腕は頂部で結合しています。

 菌類にはいろいろな種類がありますが、いわゆる「きのこ」と呼ばれているものは、主に坦子菌類と子嚢菌類からなります。
 担子菌類の多くは、いわゆる傘を持ったきのこで、傘の下のひだや管などの表面に担子胞子を作ります。 しかし一部には、きのこの内側に担子胞子を作り、キノコが成熟すると外に放出するものがあり、これらを腹菌類と呼んでいます。

◎ 腹筋類の解説とスッポンタケ科のスッポンタケをこちらに載せています。

 サンコタケの名前は、形が三鈷(さんこ)に似ているところからです。 三鈷は密教の修法に用いる仏具の一つで、元は雷の神の武器で、雷をかたどったものといわれています。 後にこの神が仏を守護する神として仏教に取り込まれ、この武器があらゆるものを摧破(さいは)するとされているところから、煩悩を破る悟りの智慧の象徴として採り入れられたようです。

 以下、過去に撮った写真を使って、もう少しサンコタケを見て行くことにします。


  上は幼菌です。 この頂部が裂開して腕が伸び出してきます。


 上は腕が伸び出したサンコタケで、基部には袋が残っていますし、奥には幼菌が残っています。 腕はまだ開いていませんが、腕と腕の間の凹みに黒っぽいドロッとしたものがついています。 これはグレバと呼ばれているもので、胞子はこの液体中に散らばっています。


 上のサンコタケは、腕はまだ十分に開いていませんが、托が長く伸びてきています。 腕の頂近くには・・・


 上は腕の頂近くの拡大で、ハエの仲間が来ています。 じつはグレバは人間にとっては強烈な悪臭、ハエにとっては大好物のにおいです。 サンコタケはドロドロのグレバと共に胞子をハエに運んでもらう作戦をとっているようです。

※ 上の文はサンコタケが1種であるように書いていますが、じつは黄色型(上はたぶんこれ)と紅色型 P. fusiformis の2種があります。