2020-07-07

住宅地でモズが子育て

 下は Part1の 2013.7.18.の記事を、一部変更のうえ、こちらに移植したものです。
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 モズの営巣は農耕地と低木が混在するような環境の樹上で行われることが多いと言われていますが、堺市南区のニュータウンの庭木で子育てをしているモズがいました。

 今では町の中で営巣しているヒヨドリをよく見ますが、これは1970年頃からで、それまではヒヨドリは、冬季に南下してくるものとの関係が難しいのですが、夏季と冬季で山地と平地を行き来する鳥で、繁殖場所は山地でした。
 モズについても、10年ほど前から、町の中での子育ての話を聞くようになりました。 モズの生活にも変化が起こっているのかもしれません。

 以下はモズの子育ての観察記録です。

● 6月30日


 モズがスモモの木に営巣していました。 抱卵中の親鳥は、見られている間は、声も出さず、全く動きません。 たまたま巣に入る親鳥を見かけて、抱卵にはかなり以前から気付いていたのですが、巣の近くにとまっていることも鳴くことも無く、モズと確認するまでにかなり時間がかかりました。
 巣材には荷造りなどに使われる紐(ポリプロピレン製が多いようです)が、かなりたくさん使われているようです。 写真の上下に走る白い紐も、たぶんモズが運んできて巣作りに使わなかった紐だと思います。

● 7月9日


 親の留守の間にヒナを確認できました。 巣の中を覗いていませんのでよくわかりませんが、3羽は確認できました。 動けば目立つことを本能的に知っているのでしょう、見られているうちはヒナも全く動きません。

● 7月10日


 ヒナが巣立っていました。 巣の中は、よく見えませんが、たぶん空です。 上の写真は巣の側にいた1羽で、写真の左下に巣の一部が見えています。
 写真ではこのようにはっきり写りますが、実際にはヒナは葉の密集した薄暗い所にいて全く動きませんから、みつけるのはほんとうにたいへんです。
 他のヒナも近くにいるはずなのですが、3m以上は近づかないようにしましたので、見つけることはできませんでした。


 親鳥は餌を運んできていますが、ヒナの居場所を隠そうとしているのでしょう、ヒナには近づきません。 尾をクルクルと回しながら、嘴に餌をくわえたまま、ギチギチギチ・・・と激しく鳴き続けます。

● 7月11日


 子育てはオスとメスが協力して行っているようです。 上の写真では左のオスがギチギチギチ・・・と鳴き続けています。 右はメスです。(オスとメスの違いはこちらに載せています。)
 このギチギチギチ・・・は、注意を自分の方に向けさせるためなのか、ヒナに注意するように呼びかけているのか、おそらくはいろんな意味を持っているのだと思います。


 上はやっとみつけたヒナです。 巣からは2mほど離れた場所にいました。 見られていることがわかっているからなのか、親鳥のギチギチギチ・・・が聞こえてくるからなのか、やはり固まったように動きません。

● 7月12日
 親鳥のギチギチギチ・・・が続きます。 注意して聞くと、別の所でも鳴いています。 夫婦協力体制が続いています。

● 7月18日
 巣離れしてから8日目です。 ヒナの姿は見つけられませんでしたが、親鳥がまだ餌を運んできているのを目撃しました。 ギチギチギチ・・・も続いています。
 この間、猫やイタチがヒナを狙い、親鳥がこれらを激しく攻撃することもありました。 イタチは写真に撮りたかったのですが、私とイタチで、互いの存在に気づいたのがほぼ同時で、すぐに逃げられてしまいました。
 このようにしてみると、モズのヒナは巣を離れた後にも、かなり長期間、親鳥に餌を運んでもらうようです。 これがモズにとっては普通のことなのか、町の中で猫などに狙われやすいためにヒナが早く分散してしまったのか、いろいろ考えられるでしょうが、とりあえずモズの子育ての1例として記録に残しておきます。