2021-09-22

私の顕微鏡切片の作成方法

 コケを同定する場合、葉や茎の横断面の観察が必要になる場合が多くあります。 今回は私がそのような切片をどのように作成しているかを紹介します。

 上はある種のコケの葉の翼部の横断面作成の様子を上から見たイメージ図です。 赤い線の所で切断するのですが、葉が指で押さえられないほど小さい場合は、葉が動かないように何かで葉を押さえなくてはなりません。 私はそのために、上のような自作の“長刀型へら”を使っています。

 上は“長刀型へら”の実写です。 これで幅が1mm程度のものまで押さえる事ができます(上の写真のスケールの数字の単位はmmです)。 それより大きなものを切るには、指で押さえられるでしょう。
 “長刀型へら”は、針の頭を焼きなまして柔らかくし、金槌で叩いて扁平にした後、砥石で整形して作成しました。 なお、この“長刀型へら”は、蘚類の上に苔類がくっついている時に、両者の間に差し込んで分離したり、種によっては葉を茎から外す時に使用するなど、いろいろ応用できます。

 次に切る時のテクニックです。 茎や葉など切りたいもの(以下、「対象物」と書きます)を安全カミソリで切るのですが、対象物の下まで刃が突き抜けないとうまく切れません。 そのために・・・

 上は対象物の切断の様子を横から見たイメージ図です。 私はスライドグラスの上に少し厚めのビニールを載せ、その上に対象物を載せて切断しています。 対象物が小さい場合は上に書いたように“長刀型へら”で対象物を押さえています。 これを 20倍の実体双眼顕微鏡下で行っています(倍率が高すぎるとピントの合う高さが少なくなりすぎますし、倍率が低いとなかなか薄く切れません)。
 安全カミソリの刃はできるだけ薄いものの方が美しく切れるのですが、私はフェ〇ー剃刀替え刃(青箱)を2つに切って使用しています。 過去にはもっと刃の薄い緑箱があったのですが、残念ながら生産終了になっているようです。
 以前、このようなことを説明していた時に、厚めのビニールとは具体的にどれくらいの厚さなのか聞かれたことがあります。 特に理想的な厚さがあるわけではないのですが、参考までに、下に写真を載せておきます。

 上はスライドグラスの上に、私が使っているビニールを載せ、比較のためにその上にカバーグラスを載せて撮った写真です。 私が使っているビニールは、上の写真からすると、カバーグラスの 1.5倍ほどの厚さ(=0.3mmほどの厚さ)のようです。

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