ムツデチョウチンゴケ Pseudobryum speciosum は雌雄異株です。 生殖器をつけた雌株や雄株、生殖器官をつけていない株は、見かけ上、かなり異なった印象を受けます。 雌株の様子はこちらに載せていますが、上は雄株です。 雄花盤をつけ、苞葉も葉も白い中肋が目立っています。
葉の基部の両翼は長く茎の上に下延しています。
上の2枚は、1枚目は雄花盤をつけていない茎の葉をそのままで、2枚目は雄花盤をつけた茎の葉をカバーグラスを被せて水で封入して撮っています。 全周に 0.3mmを超えることもある長い歯があります。
1枚目の葉には細い舷があるように見えますが、2枚目の舷ははっきりしません。 以下はこの2枚目の葉について調べています。
葉縁にある毛のようにも見える長い歯は単細胞です(上の写真)。
上は葉先の様子で、写真下中央から伸びてきている黒っぽく写っているのが中肋です。 平凡社の図鑑では「中肋は葉先に達し,(以下略)」と書かれていますが、雄花盤をつけている茎の葉の中肋は、上の写真のように葉先には達していません。
上は中肋の細胞です。 最初の写真で、白い中肋が目立つと書きました。 ところが細胞レベルで見ると、白い細胞は無く、気泡が細胞に沿って規則正しく並んでいるのが観察できます。 この気泡を無くすことは難しく、プレパラート作成時にできたものとは考えられません。 中肋が白く見えるのは、これらの気泡が光を乱反射しているためでしょう。 下はもう少し引いた中肋の写真です。
中肋は羽状に多くの短い側枝を出しています。 中肋部と余蘊細胞とでは明るさの差が大きく、上の写真では葉身細胞の様子がよく分かりませんので、倍率を変えて明るさを調節したのが下です。
真っ黒になってしまいましたが、写真の左が中肋です。 葉身細胞は中肋に対してほぼ横に近い斜めに配列しています。
上は葉身細胞です。 細胞壁の所々が薄くなっています。
上は生殖器官をつけていない株です。雄花盤をつけている株とは、かなり印象が異なります。
(2022.9.4. 北八ヶ岳)
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