上の写真のコケ、北八ヶ岳の地面に育っていたコケです。“主役”のように中央に写っている蒴はチョウチンゴケ科の蒴で、葉は隠されています。 たくさん写っているコケですが、蒴はまだ細い状態で、調べても無駄だろうと葉を調べました。 葉を顕微鏡で見てすぐに、これまでに見たことのあるコケだと思いました。 しかし思い出せません。
記憶違いかもと、観察に基づいてゼロから考えることにしました。 翼部が分化していないのでシッポゴケ科ではないと思い、キンシゴケ科を調べましたが、観察結果に該当する種がみつかりません。 困ってFacebookに載せたところ、これまで2回もブログに載せている(こちらとこちら)エゾノコブゴケ Onchophorus wahlenbergii(シッポゴケ科)だと教えていただきました。
本種は蒴を見ればすぐに分かります。 それだけに蒴の印象が強すぎて、あまり葉の様子が頭に残ってなかったようです。 シッポゴケ科にもいろいろなタイプのコケがあることを再確認しました。
Facebookに載せる写真を準備しましたし、特に葉については少し詳しく調べましたので、前に載せたものと重複する内容も多いのですが、ブログにも載せておきます。
葉の長さは4~7mm、蒴柄の長さは約 1.5cmでした。
葉は湿っていると水平に近く開きますが・・・
乾くと上のように縮れます。
葉の基部は円筒状に茎を抱く鞘部になっています(上の写真)。
上は葉鞘部の肩の細胞です。
上は葉鞘中部の細胞です。
上は葉身基部の様子です。
上は葉の中央部背面の細胞の様子です。 下は上と同じ場所で、中肋にピントを合わせています。
葉身細胞と中肋を形成している細胞は明らかに異なります(①)。
上は葉先から1/4の所です。 葉縁に歯があり、中肋背面にも突起があります。
葉先は上記①の細胞の様子から見ると、中肋が葉先に達していると見るべきでしょう。
中肋の断面でガイドセルの上下にステライドがあります。
(2022.9.4. 北八ヶ岳)
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