体長は 3.5mmほどしかありませんが眼の色が美しいハエ目の昆虫、ネッタイヒメクロメバエ Spathulina acroleuca のメスだと思うのですが、九州・沖縄の昆虫が詳しい「増補改訂版 昆虫の図鑑 採集と標本の作り方」(南方新社)では、翅の模様は一致するものの、分布は九州~四国となっていて、「体は黒い」とあります。 分布は温暖化の影響で広がっているとしても、体色は気になります。 ネットで調べると、たくさん出てきますが、みんな写真のような体色で、眼の色は写真のような緑色のもの以外にも、赤いものもたくさん出てきます。
ミバエの仲間の多くは植物の組織内部に卵を産み、幼虫は周囲の組織を食べて育ちます。 果物などを食べれば害虫となり、放牧地などで有害な植物を食べれば益虫となるわけですが、甚大な被害を与える種もあります。 本種の観察例は多いのですが、生態的なことを書いたものに出会うことはできませんでした。
上の写真の本種がいる黄色い花はタンジー Tanacetum vulgare です。 キク科の多年草で、ヨーロッパからアジアにかけて分布しています。 日本には変種とされているエゾヨモギギクが北海道に自生しています。
強い香りがあり、ポプリの材料などとして利用されるほか、染色用ハーブとしても知られています。 また、有毒であるため、虫除けなどにも使われます。 西洋では台所の入口に植えられてアリなどの虫除けとして使用されたり、蚤よけに粉にして撒いたりされているようですが、最初の写真のように花には虫が好んで飛来していました。 上の写真でもツマグロキンバエが来ています。 花は虫に来てもらうために咲くのですから、少なくともハエの仲間に対する毒性は花には無いのかもしれませんね。
(2021.10.21. 兵庫県西宮市 北山緑化植物園)
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