上の写真、何種類かのコケが写っていますが、いちばん多いのはクロゴケ Andreaea rupestris です。 クロゴケは何度も見ていますし、このブログにも載せています(こちら)が、これまでは乾いた状態でしか見たことが無く、これを見た時は何なのか、全く分からず、少し持ち帰って調べることにしました。
上は乾いた状態です。 最初の写真にも蒴は写っていませんが、持ち帰ったものの中に1つだけ蒴がありました(上の写真のいちばん上)。 が、これを見て私の頭はさらに混乱しました。 蒴柄が無く、見たこともない蒴だと思いました。 蘚類か苔類かも分からなくなり、まずは葉を調べることにしました。
上が葉で、蘚類のようですが、これを見ても、まだクロゴケだとは分かっていません。 クロゴケの葉は前に顕微鏡でも観察しているのですが、いつも特徴のある蒴でクロゴケであることを確認していますので、葉の印象が頭に残ってなかったようです。
葉を斜め横から見ると、背面に大きなパピラがあります(上の写真)。
続いて蒴を調べることにしました。
多くの蘚類とはかなりかけ離れた系統の蘚類・・・と、ここまで考えて、もしかしたらクロゴケかも、と思いました。 過去に調べたクロゴケと葉を比較すると、たしかにクロゴケのようです。
クロゴケの蒴は上がくっついたままで縦に4裂して行燈状になるのですが、写真の蒴はその姿になる手前で成熟が止まってしまったようです。 また、蒴柄のようにみえている大部分は偽足と呼ばれていて配偶体の一部で、ほんとうの蒴柄はごく短いものです。 上の写真をよく見ると、くびれている所のすぐ下に、偽足と蒴柄の境がありそうです。
すっかり蒴に翻弄されてしまいましたが、おかげで詳しく細部まで観察することができました。
(2021.10.7. 北八ヶ岳)
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