2015-07-13

ヤマトクラマゴケモドキ・シゲリクラマゴケモドキ


 ヤマトクラマゴケモドキ( Porella japonica )はニスビキカヤゴケなどと同じクラマゴケモドキ属の苔類で、色つやは異なりますが、特に乾いた状態での形態はよく似ています(上の写真)。
 なお、「クラマゴケモドキ」の名は、シダ植物のクラマゴケに似ているところからですが、乾いた状態では背葉が内曲し、似ているようには見えません。


 上は湿った状態にしたものを腹面から撮ったものです。 背片は卵状舌形・円頭で、上半部に1~5歯があります。


 上は、時間の経過と共に少し乾燥が進み、背片が少し内曲していますが、2枚目とほぼ同じ所を、腹片や腹葉にピントが来るように撮ったものです。 腹片は長下形で、しばしば基部が広くなり縁は鋸歯状です。 また腹葉は舌形で、茎径より少し広く、縁にはやはり歯が見られます。
 なお、2枚目も3枚目も深度合成していますので、合成時の処理の過程で、本来つながっていないはずの所が、一部つながったように見えています。


 いちおう顕微鏡写真も載せておきます。 上は腹片、下は腹葉で、どちらも写真の右上が茎頂方向です。


◎ 背片、腹片、腹葉のいずれにも歯の少ないタイプのヤマトクラマゴケモドキをこちらに載せています。



 同じクラマゴケモドキ属の苔をもう一種、下はシゲリクラマゴケモドキです。


 シゲリクラマゴケモドキ( Porella densifolia var. fallax )はヤマトクラマゴケモドキより倍ほど幅広いのですが、写真にすると区別がつきませんので、野外で撮った写真は省略し、腹面から撮ったものだけにします(上の写真)。
 シゲリクラマゴケモドキの背片は楕円状三角形、鈍頭で1~3歯があります。 腹片は密に重なり、舌形で全縁です。 腹葉は腹片によく似た形態をしています。

(2015.6.17. 岩湧山 標高400m付近)

◎ シゲリクラマゴケモドキはこちらにも載せています。