2020-06-18

ヤマトケビラゴケ


 樹幹に張り付いた上のコケを調べました。 写真の右上には昨日載せたアカイボトビムシもいます。


 背片は重なり、全縁で円頭、葉先はやや内曲しているため、上の写真では色濃くなっています。 腹片はほぼ方形で、背片の1/2ほどの長さです。 キールはやや弓形に張り出すものや少し凹んでいるものもありますが、総体的には直線状です。


 腹片の基部は茎を少し覆っています。 なお、腹葉はありません。


 上は葉身細胞です。 トリゴンはほとんどありません。 油体は各細胞に1個、小粒の集合で、その小粒が少し大きな場合、眼点のように見えることもありますが、全体を見た場合、眼点は無いと言ってよいでしょう。

 以上の観察結果からヤマトケビラゴケ Radula japonica だと思ったのですが、念のため、平凡社の図鑑の検索表をたどってみました。
 この図鑑のケビラゴケ属(日本産23種)の検索表では、背片が鋭尖/円頭から始まり、鋭尖の3種を除いた円頭20種の次の分岐は、茎の皮層細胞が薄壁か厚壁かです。 茎の横断面のプレパラートを作成し、撮影したのが下です。


 私は最初、これを厚壁と見ましたが、厚壁から検索表を先に進んでも、上の観察結果に合致する種は存在せず、ヤマトケビラゴケに至るには薄壁を選ばなくてはなりません。
 悩みましたが、茎の皮層細胞が厚壁とされているオオケビラゴケの茎の断面を見て納得しました。 薄い/厚い、長い/短い、広い/狭いなど、相対的な表現には比較検討が必要だと改めて思った次第です。

(2020.6.15. 兵庫県 六甲山)

◎ 3枚目の写真の腹片と茎の関係は、透過光で見ると、茎と腹片の基部は接していて見分けがつきにくいのですが、反射光で撮ったこちらでは、はっきり確認できます。 またこちらには花被をつけた本種を、こちらには開裂した蒴をもった本種を載せています。