2020-06-21

ハミズゴケ(6月の姿と生活環)


 上は6月15日に兵庫県の六甲山で撮ったハミズゴケ Pogonatum spinulosum で、まるでタケノコのように胞子体が伸びだしはじめていました。 ハミズゴケはスギゴケの仲間ですが、配偶体があまり発達しない代わりに原糸体が光合成を行い胞子体を育てます。 “タケノコ”の下に濃い緑色にいちめんに広がっているのが原糸体です。
 和名は「葉見ずゴケ」ですが、全く配偶体の葉が無いわけではなく、今ごろが最も配偶体が発達している時期かもしれません。 上で伸びはじめた胞子体をタケノコに例えましたが、配偶体の葉または苞葉は竹の皮のように、ピッタリと“タケノコ”に張り付いています。 しかしその葉身は緑色で薄く、葉を見分けるには葉先の褐色部分に頼るしかありません。


 上がその葉または苞葉です。 薄い葉で剥がす時に破れてしまっていますが・・・。 スギゴケの仲間の葉にはふつう薄板があるのですが、写真の葉では薄板は確認できませんでした。


 上は葉先付近です。 歯とも毛とも言えないようなおもしろい突起があります。 薄板のつくりとどこか共通点があるような気もしますが、よく分かりません。

 さて、1枚目の写真に戻って、この胞子体は生長し、秋の終わりにはコスギゴケなどとよく似た毛の多い帽のある蒴が見られます(こちらこちら)。 そして・・・


 上は2月13日に、同じ六甲山で撮ったハミズゴケで、胞子を飛散させ始めています。 なお、地表にあるのっぺりした濃い緑色は本種の原糸体ですが、明るい色の葉はアカイチイゴケです。
 下は同じ日に原糸体に近づいて撮ったもので・・・


 原糸体のあちこちに小さな紅色の芽が見られます。 この色は寒さに対する適応でしょうが、この芽が伸びて1枚目の写真の“タケノコ”になるのでしょう。