2015-11-19

シッポゴケ


 上はシッポゴケ( Dicranum japonicum )だと思うのですが、図鑑などに書かれているサイズよりかなり小さいので、少し不安です。 陽の当たる林床に生えていました。
 シッポゴケは大型のコケで、図鑑などによく書かれているサイズは、茎は長さ10cm前後で、葉の長さも10mm前後です。 しかし今回載せているコケは、茎は2cmほどで、葉の長さも5mmほどしかありません。 シッポゴケに近縁の小さな種も疑いましたが、以下に書くこのコケの特徴はシッポゴケのものだと思います。 何十mにもなる大木も1cmに満たない芽生えの頃があるわけで、各植物体が本来のシッポゴケの大きさになっていない群落だろうと思います。


 茎を見ると、あちこちに白い綿くずのような仮根がついています。 よく似たオオシッポゴケでは、この仮根は褐色です。


 上はたくさんの仮根が絡まりあっている様子を拡大したものです。


 葉は狭披針形です。 上の写真は、ピンセットで葉を取る時に、左が少し欠けていまいました。


 葉の上部は、葉の縁の左右が寄って溝状になっています。 上の写真の赤い線は、葉の左右の縁を示しています。
 上の写真では、葉のあちこちに歯があるように見えますが、歯は葉の上部の、葉縁と中肋背面にあります。


 上は葉の先の部分です。 葉縁にはたくさんの歯が並んでいます。


 上は葉の上部の中肋背面の(正確には中肋背面上の薄板の)歯にピントを合わせて撮った写真です。


 上は葉身細胞です。 葉身細胞の膜にはくびれが見られます(赤い2重円で示した所)。

(2015.11.11. 六甲山・森林植物園)

◎ 上のシッポゴケは葉を茎に沿わせてあまり開いていませんが、葉を横に開いたシッポゴケをこちらに載せています。 また、蒴の様子や葉の横断面などをこちらに載せています。